美容師xユーザー座談会vol.3 恋人にも似たお互いの信頼関係は?

■前髪は自分で切ってもいい?「自分で切るなら範囲を決めて!」

岩澤:前髪ってすぐに伸びますよね。今の前髪が好きなのでこの状態をキープしたいんです。けれども、前髪だけで美容室行くのもなんだし、自分で切ったらかわいくないし。 自分で切るのは美容師さん側からしてありですか?

寺田:よく「前髪は美容室で!」と言いますが、僕は切っていいって言いますね。 ただ、気をつけてほしいのが、黒目と黒目の間だけ切るようにしてほしいです。そうすると、自然と目尻くらいの長さになるので自分で切っても範囲が広がる心配もないし、目にもかからないので邪魔になりません。その範囲外を切られちゃうと、いざ担当したときに「整えるはずの髪がない!」となり、前の状態に修正できなくなってしまうんです。


これはユーザーも知らなかった人が多いのでは?前髪が伸びてきて前の状態にしたい場合は、黒目と黒目の間だけを切るようにしたらいいんですね。

■髪をばっさり切るのは「信頼関係」が鍵

-具体的に髪型が決まってないとき、どうオーダーを伝えていいか分からなくて悩んでいる人が多いようです。

伊藤:カットしに来たお客様でこの手の悩みが多いのですが、まず「切りたいのか切りたくないのか」、「カラーで暗くしたいのか明るくしたいのか」だけ決まっていれば大丈夫です。 切りたいのであれば、「重たくしたいのか軽くしたいのか」、「雰囲気を変えたいのか」など提案しやすいですね。

岩澤:例えば、長く通っている髪の長いお客様に対して、「ショートが似合うから切りなよ!」って、いきなりショートの提案はしますか?

伊藤:1年くらいの付き合いのお客様にはしないですね。ショートにしてもプライベートがある程度わかっている付き合いであれば言えるけど、1年だと、美容室に来るのって年に4回くらいじゃないですか?そうなるとプライベートもわからないことが多いので、いきなりショートに、という提案はしないです。

寺田:その人がどうしてもしたいと言うのであれば進めます。

野口:私は優柔不断なとこもあるから「似合うからショートにしなよ」って言われた方が後押しになっていいと思うんですけど。


岩澤:美容室に行くたびに「こうしたい!」って毎回決まっているわけではないので、伸びてきてふらっと美容室に行ったときに髪型を提案してほしいんです。

伊藤:カウンセリングの時に、「どうしよう」って悩んでいるのがわかったら言いますね。

寺田:切るかどうか悩んでいる人は、「いきなり短く」じゃなくて「ちょっとずつ切っていこう」って提案をしますね。

いきなり短くすると、見慣れてなくて「やっぱり違ったかも」って思う場合もありますしね。ちょっと短くして、まずはその状態を楽しんでもらって、もうちょっと短くしようと思えれば切る方がいいですよね。

前髪も、短くしたくてもいきなり短くするのは勇気がいりますよね。そんなときは、ちょっと短くしてそれに慣れてしまえば「もっと短くしても大丈夫」って思えてくるので、ちょとずつ切って慣れていくのがいいんじゃないかと思います。

伸ばすのは時間かかるけど、短くするのはすぐにできるので、まずは少しだけ切った長さを楽しんでもらえることを提案するようにしています。


■美容師オススメのヘアケア「シャンプーとトリートメントが一番重要!」

林:髪が絡まることが多くて…、自分できるヘアケア法を教えてほしいです。

伊藤:「髪の細胞は死んでいる」ってよく言われるんですが、髪の毛って再生しないんですよ。なので、シャンプーとトリートメントを自宅でしっかりやることが一番大事です。今より状態は良くはならないので、これ以上傷まないようにしていかないと駄目ですね。

林:シャンプーも泡立ててから髪につける方がいいって聞きますけど実際どうなんですか?

伊藤:市販のシャンプーは、洗浄力がすごく強いので泡立ててから使ってください。市販のものは誰が使ってもきれいになるように作られているので、例えば乾燥がひどい人がいきなりつけると髪がびっくりしてしまうんですよね。

美容室のシャンプーは、頭皮に優しいものやダメージに特化しているものなどあるので、値段は高いけど使ってほしいですね。


野口:髪を伸ばしたいけど、途中で肩にかかるのが嫌でパーマをかけようかなと思っています。けど、上手く再現できないし、どうしたらいいか悩んでしまいます。

寺田:エアウェーブなどデジタルパーマは、半分乾かした状態でムースをつけて、くるくる指で巻いて持ち上げるように乾かすとウェーブが綺麗に再現できますね。

野口:あと、パーマがとれかけてきたときは、いったんストレートパーマをかけた方がいいんですか?

伊藤:またパーマをかける際に、ストレートパーマをかけてしまっていると髪がダブルでダメージを受けるので、どうしても我慢できない限りは、かけずにとれかけのパーマを楽しむ方がいいですね。

■「何度浮気しても戻ってきてくれれば嬉しい」

-美容師さんは、お客様が美容室を変えてまた戻ってくるのってどうですか?

岩澤:自分のその時々の気持ちによって雰囲気を変えたい時、「今回はカジュアルにしたいからあの美容師さんに」「今回はこうしたいからそのテイストが得意そうなこの美容師さんに」って美容師さんをチェンジするのってありですか?

次に行ったときに、「あ、これ私のカットじゃない」ってわかった時に、切りやすいのか切りにくいのかって考えちゃいます。

伊藤:全然気にはなりませんよ!ただ、整えるって面では自分と違った人がしていると整え方が違ってしまっているのでやりにくいというのはありますけど。

岩澤:他の美容室に浮気して帰ってくるのは嬉しいですか?

寺田・伊藤:それは嬉しいですね。

岩澤:それでまた浮気して、また戻ってくるのは?

寺田:戻ってきてくれればとにかく嬉しいです(笑)。


「まるで健気な恋人のよう…」思わず笑いがこぼれる。

岩澤:通う美容室が決まっていても、たまに「他の美容室に行ったらどんな雰囲気になるのかなー」って気になるときがあります。けど、他の美容室行ったとわかったら、行きつけの美容師さんは嫌な気持ちにならないかな?って思っちゃう。

伊藤:それを言い合える関係をお客様と築きたいですよね。「何で美容室で気を使いあうんだろう」って思うんですよね。お店の中でもスタイリストさんをその時によって変える人もいますよ。

岩澤:へー!気になりませんか?

伊藤:今日は、合コンだから男性の方に、女子会だからセットは女性に、って分ける人もいるので、結構普通ですよ!

 この質問には、ユーザー3人も驚き。確かに、お客としては美容師さんや美容室を変えて戻ってくることには、どこか心苦しさを感じてしまいがち。しかし、戻ってきてくれれば嬉しい、という意見を聞けば、いろんな美容室を試してみるのもよさそうです。

まさに直接美容師さんにはなかなか聞けないけど聞きたい本音ですよね。

 今回、美容師側、ユーザー側の本音を聞き出すことによってお互いどこかやりづらかった部分が見えてきました。

美容室は自分を可愛く、キレイにする場であるからこそ、変に気を使うのではなく、本音をぶっちゃけることによっていい関係が築け、より自分に似合うスタイルを美容師さんと二人三脚で創りあげていけるのではないでしょうか?

次回は、最も質問が多かった「ヘアアレンジ」について。さまざまなシーンに最適なヘアアレンジを美容師さんからレクチャーしてもらいました。「美容師xユーザー座談会vol.4  美容師が教えるテーマ別ヘアアレンジ」

■美容師xユーザー座談会vol.1 美容室で本当のこと言える?
■美容師xユーザー座談会Vol.2 意外な本音「安い美容室は選ばない」
■美容師xユーザー座談会vol.3 恋人にも似たお互いの信頼関係は?
■美容師xユーザー座談会vol.4  美容師が教えるテーマ別ヘアアレンジ